他力

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他力がアルミニウム合金を動かす

ツールはコイル(インダクタとも呼ぶ)です。そして工業製品に適用する場合は、高い耐久性が要求されます。しかし、発揮した力と同じ力を受けるので、及ぼしあう力として相手側を変形させつつ、コイル自身の形状を保つための支える力がないと負けて壊れてしまいます。大きな力を与えて大きな変形を与えようとするとき自分も同じダメージを受ける状態を考えるといいとおもいます。

尾田栄一郎氏著「ワンピース」の狙撃手ウソップがインパクトダイアル(巻貝)を使うときのように、相手へのダメージをそのまま自分でも持ちこたえる覚悟が必要となります。あのインパクトダイヤルは、他力が生じているイメージに近いと考えます。

そのためコイルは繰り返して使用していくうちに消耗し、寿命を向かえるのは仕方がないことです、、、。ところが、私たちが作り上げた「他力コイル」は一般コイルよりも10倍は長生きです。鶴は1000年、亀は1000×10=10000年。一般コイルは1000回、他力コイルは10000回。

コイルを支える補強材や仕組みはその力に悪影響を及ぼすものであってはならず、具体的には磁場を透過する樹脂などが推奨されます(物性としては透磁率が高いモノ)。

そして変形させる相手側は、導電率(電気伝導度)の高い金属が有効です。変化する磁場内に金属などの導電体があると、その導電体に電流が流れる(フーコーの見つけた誘導電流、渦電流、エディカレント)ことはご存じかとおもいますが、導電率が低い(つまり電気抵抗が高い)と電流は抵抗によって熱エネルギとなってしまい、新たな磁場を生み出しにくくなってしまいます。すなわち他力が生まれません。アルミニウムおよびアルミニウム合金の導電率は純銅より低いですが、変形抵抗と質量が低いことから、いまのところ地球で最も有効な「他力電源用材料」であります。

非接触でモノを動かす他力の表現例

☆ 旧約聖書の出エジプト記の「水が割れる」(人々と逃れるときにモーゼが水を割った)
☆ 西遊記の「きんこじ」(孫悟空に三蔵法師が罰を与えるとき、頭のきんこじを絞める)

単なる語呂合わせとして、あたりき(当たり前)車力の車引き→あたりき(当たり前)他力の「こんこんちき」(加工音)などと、私たちは使います。

他力の活用

縮管(縮径)

パイプの外周(ネック)を縮め絞め込む成形加工

拡管(拡径)

パイプ内の空間(スペース)を押し拡げる成形加工

かしめ

複数(2個以上)のモノを「ひとつながり」にする

他力で「ひとつながり」にする

例えばアルミニウム合金と木を「ひとつながり」にする

「アルミニウムおよびアルミニウム合金(他力電源用材料)」パイプを「縮管」して木の丸棒に寄せ込んで「ひとつながり」にする。このとき、きっと木は痛い思いをします(孫悟空は反省します)。

相手は木だけではなく、木より硬いものであれば何でもOK。アルミも鉄もOK。

さらにアルミニウム合金と鉄を「ひとつながり」する

「他力電源用材料」パイプを「拡管」して鉄のパイプに寄せ込んで「ひとつながり」にする。このとき、きっとコイルは痛い思いをします(三蔵法師は心を痛めています)。

相手は鉄だけではなく、他力電源材料より硬いものであれば何でもOK。アルミもOK。

電磁成形の特徴

人間の目では見えない電場・磁場(アンペールが可視化させて見せた磁石と砂鉄が描くライン)の作用(他力≒外力)によって、加工するモノ(電気を流しやすい金属)に触れることなく(非接触で)加工するモノ自体の動作意志によって形を変えていく。人間の目では捉えられない瞬時の動きで加工が可能(電場・磁場の生成する速度は、光速、それに対して質量の大小が関係する)。このことからアルミニウム合金の変形のひずみ速度依存性(高速変形により成形性が高まる)やユゴニオ弾性限界(固体が永久変形(塑性変形)を開始して流体のように振る舞う領域に入る境界線となる圧力を生じる変形速度)が適用されるとの説もある(その様を見たことがないので、我々は確信をもちつつも漠然と他力と呼んでいる)。しかし、スイッチONするまでの準備段階(モノを搬入供給して、金型や治具をセットしつつ、電源に電圧1万ボルトを蓄え、スイッチON(成形0.1msec)、金型や治具を開放し、モノを取り出し搬出する:トータル実績時間30sec)を加工時間と考えていただきたい。そして、ツールとなるコイルは必要不可欠であり、変形に必要となる力をコイル自体も受けるので、この「他力コイル」を進化させるために日夜取り組み、努力し、他力(阿弥陀様の力)が現れることを願っています。

☆ 他力本願、南無阿弥陀仏
☆ 他力電源、ナムアルミガウス

電磁成形のメリットとデメリット

電磁成形のメリット

〇:電磁成形の特徴を活かした設計により、従来使用の素材に変えてアルミニウム合金を活用し、従来と同一コストで軽量化機能を得ることができる。加工におけるエネルギ投入が充電を経て行われるので省エネルギ(充電に自然発電をもちいることで、ゼロエミッションも達成可能)。充電に時間はかかるが、風車や自転車ダイナモからの電力で充電を行うことも経験した。

電磁成形のデメリット

×:適用する材料が高導電性で変形抵抗、比重の低いものを対象としたほうがメリット追求できるため(チヤンピオンはアルミニウム合金)、アルミニウムの流通性の影響がある。衝撃電流発生装置(電源)が発展途上(日進月歩)で市販品がない。

上記の説明から、他力の意味を理解いただければ幸い。